正始5年(244)曹爽の蜀攻めは大失敗に終わった。対する司馬懿は巻き返しに入るかと思われたが…。

張春華の死

兄上、父上が引退したいというのは本当??

どうやら母上が亡くなったのが原因のようだ

そんな仲睦まじい夫婦とは思えなかったけど…
~さかのぼること約四十年前~
司馬懿は宦官の孫である曹操に使えるのが嫌で、仮病を使ってニート生活をしていた。

あなたの仮病をチクリそうな使用人がいたので、始末しました

え、殺したの…
密告しそうなだけで使用人を殺されては大変なので、司馬懿は曹操の元に就職した。
その後、長男司馬師、次男司馬昭が生まれる。
しかし、性格のきつい張春華。司馬懿は側室の所に入り浸ってしまう。

私以外の女を大事にするなら、私は餓死します。
司馬師、司馬昭も一緒です!

いや、息子までまきこむなよ…
~回想終了~

あの時は死ななくてよかったね

本気で自殺する人間が、ハンガーストライキするかよ。
ただのツンデレだ

確かに、そのあと弟も生まれたしね

やはり夫婦のことは子供ではわからんということだ
司馬懿の深慮

昭は去ったか?

はい、父上の引退を疑ってもいませんでした。
しかし、弟までだまさなくても…

敵をだますには味方から。
事を起こすまで秘密を知るものは少ない方がいい

あ、誰か尋ねてきました。
曹爽の側近、李勝です!

よし、今度は私が出迎えよう。
少しメイクして…
曹爽の側近、李勝は偵察のため司馬懿の家にやってきた。

こんにちは~、司馬懿様。
荊州に行く前にご挨拶にうかがいました

ほう、并州に行かれるかの。あそこは寒いから気を付けるんじゃぞ

違います、荊州です。
侍女に肩を貸してもらって、かなりお体がお悪いのですか?

もう駄目じゃ。息子たちのことをよろしく頼む。
新しい時代を作るのは老人ではない…
しばらく話をして、李勝は帰っていった。

これでは道化だな。
どうだった、私の演技は?

下手すぎです!
高平陵の変前夜

で、司馬懿の様子はどうだった??

それが、見るも無残に耄碌していました。
私も、少し泣いてしまいました…
李勝の話を聞き、曹爽陣営は沸き立った。

お父さん、すっかり呆けちゃったんでしょ。
大変ねえ~

あ、まあな…。
(あんな大根芝居ですっかり騙されてる)
それから二年。曹爽陣営は我が世の春を謳歌し、だんだん皇帝すらもないがしろにし始めた。

だって、俺って誰にも気を使うのは嫌な人間じゃん!

どんだけー! じゃあ、皇帝になるしかないわよ
そして正始10年(249)正月、仲達は息子や弟たち一族すべてを呼び出した。

ついに兄上に完全に家督を譲るのかな?
広間に集まると、司馬一門の中心に正装して立つ司馬懿の姿があった。

一門の者たちよ、よく集まってくれた。
今日は大事な話がある!

父上、病は直られたのですか?

すべては父上の芝居だ。
皆の者、明日我らはクーデターを起こす!

皇太后に協力を仰ぎ、曹爽たちを粛清する。
宮中の平穏を取り戻し、私は先帝の元に召されようぞ

マジで?? マジで言ってんの?
司馬一門の命運をかけた決戦は明日に迫っていた!
つづく。

春華。私を導いてくれ!

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